次に、代車がレンタカーの場合について述べてみよう。以前の自動車保険会社では自分の過失が全くなく、100%相手に過失がある場合、つまり100:0に事故に限ってレンタカー費用を出してくれていたが、裁判所での判例に、「過失の比率」に対して柔軟な対応を認めた判例があり、それに付随して自動車保険会社の対応にも変化が現れてきている。従って、対応の方法にも変化に準拠した対応が必要となってくる。
1)相手の自動車保険会社に対して、レンタカー使用を認めてもらうように自分の自動車保険会社に頼んで見る。
<注>レンタカー借用代金の8割分が認められることがある。
2)自分の自動車保険会社、及び相手の自動車保険会社がいずれも拒否する事態になった場合は、弁護士に委任してレンタカーを使用できるか請求を依頼する。但し、これは自分の自動車保険に弁護士費用特約が付加されていることが条件である。弁護士特約がなければ費用がかかってしまうからだ。
3)仮に、弁護士費用が付加されていない場合は、自身が相手の自動車保険会社にダイレクトに交渉することも可能である。交渉する際の最大のポイントは、「既に裁判所においては事故の過失比率に応じてレンタカー代金を認可しているのに、なぜ、相手の会社に対して認可しないのか? その理由を明確にして欲しい。」ことを相手の自動車保険会社に明言することである。
このような行為にも拘らず認可が下りなかった場合は、「あなたの会社のやり方をしかるべきところに相談しますので、担当責任者からレンタカー代金の不認可理由を文書の形で送ってもらうように明確に伝える。
4)最悪のケースとなるが、それでも認可しない場合は「相手の自動車保険会社に対して、交通事故紛争処理センター、もしくは簡易裁判所に出向いて相談する方法を行いますが、それでもいいですか? どうしても認可しないのですか?」と投げかける。それでも認可しないとなれば、実際に交通事故紛争処理センター、もしくは簡易裁判所に出向いて所定の手続きを行う。
自動車保険で代車が認められるケース
【代車は本当に必要?】何といっても必要性があるか否かによって、代車が認められるか否かに関わってくる。自動車が日常生活にとって必需品になっているケース、事業にとって営業目的に利用しているケース等に対しては認可されるが、他に車を保有しているようなケースでは認可されない。
【代車費用の相当性はどこまでか?】高級車が事故を受けた場合に、それに見合った代車費用が認められるということはない。通常、1ランク、又は2ランク下の代車費用になってしまう。高級車が仮に外車であっても、それ同等の外車の代車は認可されず、ランクダウンした国産高級車が割り当てられることになる。事業としての実務範囲は国産車では5千円から1万5千円、外車では1万5千円から2万5千円位の範囲である。
【代車はいつまで使えるのか?】基本的には修理する場合であれば修理期間、又は買替えせねばならない事態であれば、買い換えに費やす期間と定められている。ところが、代車を実際に利用した期間が認可されることになっている。
【代車費用の支払条件って何?】実際に代車を利用した場合に限る。代車の利用がなければ代車費用は請求不可である。たとえ、やせ我慢して代車を利用しなかった場合でも決して代車費用は認められない。代車利用の必要性が認可されないかぎり支払われることはない。ここで重要なことは代車の必要性が第三者の立場、つまり客観的に見た場合をいうのであって、自分にとっては”必須不可欠である”ということでは決してない。