よく聞く話ではあるが、通勤している時に交通事故に遭遇した場合はどうなの?という疑問。この疑問に応えるべく色々と調査してみると、確かに通勤中であることから通勤災害という範疇に括られるが、これには以下の条件に適合することが必要である。
通勤災害における通勤とは家から職場までの移動、職場から家に帰宅する移動と定義されている。
【条件その1】
通勤している目的が就業するための移動か否か。就業が目的であるかがポイントであろう。ただ単に目的もはっきりしないで就業場所に移動している場合は労災の認定は困難を極めることになろう。いわば、公私の境界が明確に示されることでポイントの一つである。例えば、就業時間よりかなり前に早く行く、つまり、明確な目的はなくただ早く行くというケースであれば労災とは認可されない。
では、帰宅途中にどこかに寄り道した場合は、目的が就業ではなく、遊び等の目的であれば労災とは認可されない。とはいえ、厄介なのは部活やサークル活動のための移動の場合である。ポイントは、「業務との関連」である。今現在では行政上、約2時間という線引がされているため、早めに切り上げることがとても肝要となってくる。
ポイントは目的が就業であること。
目的によって、判断の別れ目になることに留意する。
【条件その2】
住居と職場間の移動か否か。この課題は「合理性の有無」が問われてくることにポイントがありそう。例えば、出張中の状況で、宿泊しているホテルから職場に移動する場合、或いは単身赴任中の状況で、実家から職場へ異動する場合等、様々なケースが想定されるが、普段住んでいる住宅からの移動ではなくても、「合理性」があれば、労災と認定される。
【条件その3】
移動する経路が合理的か否か、また、その方法においても合理的か否かにかかってくる。例えば、道路工事により止む得ず迂回しなければならない状況で迂回した場合、或いは通勤途中において必需品の買い物、或いは保育園/幼稚園への送迎等がこのケースに該当するが、いずれも「合理性がある」ということで認定されている。
この課題も様々なケースが想定され、決して一つとは限らない。ポイントは「合理性の有無」についてクリアできることであろう。
最大のポイントは「合理性があるか否か」である!
次の課題として、労災と自賠責との境界についての問題あろう。
基本的には、労災と自賠責の両方からの補償は受けられない!
但し、補償項目において二重になっていなければ、この例外は該当しない。つまり、労災は厚労省が管轄、自賠責は国交省の管轄になっているため、両方からの補償は受けられない。しかし、補償項目が重なっていれば、重なっていない部分について両方に補償の請求は可能となる。
■労災保険:第三者行為における災害として労災保険の適用権利が発生したもの
■自賠責保険:不正行為責任という民法に準拠した損害賠償の請求権が発生したもの。
このいずれも国が補償する仕組みのため、重複しないように支払調整がなされていて、求償と控除が行われていることに留意することであろう。