タクシーに乗車、或いはバスに乗車している時に事故が発生し、負傷した場合は自動車保険の支払いはどうなるのかという疑問を持つのではないかと思います。
この場合に注意すべきことはどのような状況で事故に遭遇したかをイメージすることです。
ケース1:タクシーやバスが壁に衝突するという単独事故
このようなケースにおいては、ほとんどの場合過失を伴った事故であるといえますので、請求する場合は運転手、或いは彼が所属している法人(会社)が請求する相手になります。
その場合、あなたの治療費や慰謝料等の支払は相手の任意保険及び自賠責保険の対人賠償保険から支払を受けることになります。
バスの場合は運転手に怪我がなければ運転手が警察や自分の会社へ事故の連絡を行うため、乗客は連絡等は行わず、怪我を負った時にはその場できちんと申告することが大事になります。
申告と同時にバス会社等の連絡先の確認と及び自分の連絡先を相手に明示することを忘れないようにすることがポイントです。タクシーにおいても単独事故であれば、ほとんど同様な処理を行います。
ケース2:停車しているタクシーやバスに追突事故してしまった
このような場合は概ね追突を起こした車に全面的に悪いことになるため、請求する相手はタクシー、叉はバスではなく、追突を起こした車の運転手になります。ということは追突を起こした車の任意保険と自賠責保険から補償金が支払われることになります。
ケース3:タクシー、バスにも過失が認められるような衝突事故
一方的に悪いという事故ではないため、殆どの場合は過失の割合によって補償金の割合が定められることになりますが、請求する場合はいずれかの加害者に対してのみ行われることに留意することです。
ここがポイントとなります。被害者であるあなたは何も心配することはありません。後で加害者の間できちんと過失割合に準じて清算が実施されるシステムになっているのです。
但し、注意すべき点は自賠責保険に関することです。被害者からみますと加害者は二人であることから、両方の自賠責から補償金を受けることが可能となります。
自賠責は120万円が限度額であるため、両方を合わせると240万円が限度額となります。賠償が2倍になるという意味でないことに注意することが肝要です。
不法行為が共同である場合は、まず最初に両方の自賠責から240万の限度額を充てがってもらい、それでも間に合わない場合は任意保険と交渉する段取りになります。
ただ、損害額の範囲は殆どの場合、240万円内でコトが済むことが多いため、任意保険まで及ばないことになりますため、処理は簡単で済むことになります。
※共同不法行為について
複数の人が共同で事故等による損害を与えたとします。その場合、損害を与えた人物が特定できずに不明であるとします。
このようなケースでの事故関係に関する要件を修正であるという民法上の解のこと、つまり平たくいえば、それぞれが連帯しながら損害に対する賠償を行うことをいいます。この共同不法行為について、具体的に検討を重ねて交渉する術が非常に大事なポイントになってきます。
バスの場合は様々な場面が考えられます。そのため、バスの運転手は車内における事故防止にも非常に気をつけて運転することが義務付けられているのが現状です。
それでも事故が発生することがあるため、乗車する人は警察への届け、或いはバスの会社への通知等を怠ることなく行っていくことが肝要となります。